ある種の即系ナンパ礼讃
即系ナンパでもいいじゃん。
もっとも、
自分が肯定あるいは承認されることを目的とした即系ナンパは、無益だと思うが。
即から承認は得られないから。
即という関係は、見知らぬ人々の間での関係でしかない。他方、承認は、見知らぬ人々の間で交換される価値じゃない。
承認は、名前とユニークな物語を抱えた有名の人だけが与えることができる価値である。
自分の両親、好きだったあの子、会社のあの上司、仲のいいあいつ、こういう人たちからの肯定が、承認である。われわれが欲するのも、漠然とした「承認」ではない、有名のあの人からの承認である。
名前をもったあの人はみんなユニークな存在である。そういう人たちからの承認は、ユニークネスを欠いた匿名の穴からの「承認」とは代替不可能である。即った子の名前と声を、あなたはいったいどれだけ覚えているだろうか?
承認とは、お互いのユニークな世界を開示し受け入れ合ったときに生じる価値である。
このユニークさが承認をかけがえのないものにしている。
そして人の生がとてつもなく大切に思えるのは、その人の生がユニークな、かけがえのない世界であるからであり、身近な人の死がとてつもなく悲しいのは、その死によってひとつの世界が失われたからであり、その世界はユニークなゆえに二度と取り戻せないからである。
即というコミュニケーションからは、このユニークさの交換、世界のコミュニケーションが欠落している。
だから、そこに承認を求めるべきじゃない。これを理解していないと、いつまでたっても承認なんて得られず、虚しさに苛まれるだけだと思う。
俺は、即に承認なんて求めない。即は、ただ性欲を満たす手段であり、快楽ゲームとして楽しんでいる。
- 作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,志水速雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/10
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